月曜日は、毎週、物理のたとえ話を紹介します。
■ 単原子分子理想気体
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気体の分野を勉強すると、
「単原子分子理想気体」
というものが頻繁に登場します。
これは、一体、何者でしょうか?
気体が持っている全エネルギー(これを内部エネルギーといいます)というものを考えてみましょう。
まず、多くの気体は、2原子分子です。
酸素はO2、窒素はN2、という感じですね。
とりあえず、簡単のために、
2つの原子がバネでつながっているようなものをイメージして下さい。
〇vvvv〇
〇vvvv〇
〇vvvv〇
こんな感じです。
気体をイメージできましたか?
気体分子同士は、
分子間力
という力で、お互いに引き合っています。
このうちの1つの気体が持っているエネルギーを考えてみます。
(1つの分子のエネルギー)=(2つの分子の運動エネルギー)+(弾性エネルギー)
+(分子間力の位置エネルギー)
かなり、複雑ですね。
これを、分子の数だけ足し合わせたものが、
内部エネルギー
です。
特に、(分子間力の位置エネルギー)のところが複雑な形
をしていて、とても足し合わせる気持ちになりません。
そんなときには、問題設定を変更します。
足し合わせたくなるような場合を考えて、その場合について計算するのです。
そこで、まず、
「単原子分子」
ということにします。
〇
〇
〇
これが、単原子分子です。ばねがなくなったので、大分簡単になりました。
次に、
「理想気体」
ということにします。
理想気体というのは、
(1)分子の体積がゼロ
(2)分子間力がゼロ
(3)状態方程式に厳密に従う
というものです。
理想気体を考えれば、(2)分子間力がゼロ なので、分子間力の位置エネルギーも無視できます。
というわけで、単原子分子理想気体であれば、1つの分子が持つエネルギーは、
(1つの分子のエネルギー)=(分子の運動エネルギー)
ということになり、これなら、足し合わせてみようかな?という気持ちになります。
物理っていつも、「計算できるのはこういう場合」という場合を考えて、
その場合について計算するというやり方をします。
そのまわりにある、「計算できない現実の存在」をちゃんと考えていないと、
自然を間違って認識してしまいますので、要注意ですね。
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【物理たとえ話18】単原子分子理想気体
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