Quantcast
Channel: 究極の物理勉強法~たとえ話と微積分で高校物理が楽しくなる
Viewing all articles
Browse latest Browse all 834

【物理たとえ話18】単原子分子理想気体

$
0
0

月曜日は、毎週、物理のたとえ話を紹介します。


■ 単原子分子理想気体
───────────────────────────────────

気体の分野を勉強すると、

「単原子分子理想気体」

というものが頻繁に登場します。

これは、一体、何者でしょうか?

気体が持っている全エネルギー(これを内部エネルギーといいます)というものを考えてみましょう。

まず、多くの気体は、2原子分子です。

酸素はO2、窒素はN2、という感じですね。

とりあえず、簡単のために、
2つの原子がバネでつながっているようなものをイメージして下さい。

〇vvvv〇

         〇vvvv〇

〇vvvv〇

こんな感じです。

気体をイメージできましたか?

気体分子同士は、
分子間力
という力で、お互いに引き合っています。

このうちの1つの気体が持っているエネルギーを考えてみます。     

(1つの分子のエネルギー)=(2つの分子の運動エネルギー)+(弾性エネルギー)
             +(分子間力の位置エネルギー)

かなり、複雑ですね。

これを、分子の数だけ足し合わせたものが、
内部エネルギー

です。

特に、(分子間力の位置エネルギー)のところが複雑な形
をしていて、とても足し合わせる気持ちになりません。

そんなときには、問題設定を変更します。

足し合わせたくなるような場合を考えて、その場合について計算するのです。

そこで、まず、
「単原子分子」
ということにします。

〇     
       〇



これが、単原子分子です。ばねがなくなったので、大分簡単になりました。

次に、
「理想気体」
ということにします。

理想気体というのは、

(1)分子の体積がゼロ

(2)分子間力がゼロ

(3)状態方程式に厳密に従う

というものです。

理想気体を考えれば、(2)分子間力がゼロ なので、分子間力の位置エネルギーも無視できます。

というわけで、単原子分子理想気体であれば、1つの分子が持つエネルギーは、

(1つの分子のエネルギー)=(分子の運動エネルギー)

ということになり、これなら、足し合わせてみようかな?という気持ちになります。

物理っていつも、「計算できるのはこういう場合」という場合を考えて、
その場合について計算するというやり方をします。

そのまわりにある、「計算できない現実の存在」をちゃんと考えていないと、
自然を間違って認識してしまいますので、要注意
ですね。


>> 次の「たとえ話」を読む
<<
「たとえ話」を最初から読む


Viewing all articles
Browse latest Browse all 834

Trending Articles