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Channel: 究極の物理勉強法~たとえ話と微積分で高校物理が楽しくなる
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【物理たとえ話39】前向きにバック転

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月曜日は、毎週、物理のたとえ話を紹介します。


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加部中(かべあたる)さんが、物理ネット予備校の窓口に相談に来ました。

学習相談員の莫典三(ばくてんぞう)が、対応しました。

中:40歳になって、突然「物理を勉強したい」と思いました。
  
  でも、高校時代は文系だったし、数学もすっかり忘れています。
  
  最近は、記憶力も落ちてきたように感じます。
  
  自分に物理が理解できるでしょうか?


莫:初めにうかがいたいのですが、加部さんは、どうして物理を学ぼうと思ったのですか?

中:ホーキング博士の本を読んだんです。
  
  宇宙とか、ブラックホールとかの話に、とても惹かれてしまいました。
  
  でも、私は年齢も50代で、仕事に物理を使うわけでもありません。
  
  今から物理を学ぶなんて、とてもできそうにない気がします。

莫:できないと思ってあきらめる前に、私の話を聞いてください。

  私は、40歳のとき、「バック転」の練習を始めました。
  
  名前が、「ばくてんぞう」なので、バック転ができたらおもしろいかなと思ったのがきっかけです。
  
  家族は、「40歳のおっちゃんが、バック転なんて怪我するからやめときな」と言いました。

中:私が家族でも止めると思います。それでどうしたのですか?

莫:まず、バック転に必要なジャンプ力と、柔軟性とを調べてみたのです。
  
  その結果、バック転には、たいしたジャンプ力も柔軟性も必要ないことが分かりました。
  
  コツさえつかめば、自分でもできそうだと思いました。

中:でも、コツをつかむのが難しいんじゃないですか?

莫:はい。でも不可能じゃありません。
  
  バック転の映像を見ながら、どうやっているのかを、よく観察しました。

中:見て、何か分かったのですか?

莫:はい。うまい人は、背中をやわらかく動かしていることに気がついたのです。
  
  そこで、まず、背中をやわらかく動かすことを目標にしました。

中:それで、できたのですか。

莫:はい。暇さえあれば、背中をぐにゃぐにゃと動かしていましたから。。


中:この話は、物理の話と何か関係があるのですか?

莫:「難しい」と感じるものでも、相手をよく観察すると、
  そこへ近づくための第一歩を見つけることができる
と思うのです。

中:莫さんが、「背中をやわらかく動かすこと」を始めたようにですか?

莫:そうです。
  
  物理に感じる「難しさ」を、分解してみるとよいかもしれません。
  
  高校数学を復習すると、難しさが減るかもしれませんし、一般書を読んでみると、
  全体像がつかめて分かりやすくなるかもしれません。

中:なるほど。
  なんとなく「難しい」と考えて、何もしないのではなく、
  難しさを減らすための行動を、一つずつやってみるということですね。

莫:そうなんです。
  
  そうしているうちに、準備が整ってきて、「できそう!」という感覚が出てくると思います。
  
  そのときが、チャレンジのときです。

中:莫さんも、そう感じたから、おもいっきり後ろに飛んだのですね。

莫:はい。おもいっきりいきました。
  
  頭から落ちましたが、怪我をしないことが分かって恐怖が減りました。
  
  何が悪かったのかも分かって、次の目標も定まりました。

中:ということは、まだ、バック転は、成功していないのですか?

莫:はい。でも、確実に成功に近づいています。
  
  後ろにおもいっきり飛んだことで、次の段階に進むことができましたから。

中:莫さんは、本当に前向きですね。
  
  お話を聞いていたら、私も、がんばれそうな気がしてきました。

  まず、高校数学の復習から始めてみようと思います。
  
  電車の中で、ブルーバックスの本も読んでみます。
  
  物理ができそうな気持ちになったら、また、ここに来ますね。

莫:はい。お待ちしています。
  
  私も、バック転に前向きに取り組んでいきたいと思います。


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◆たとえ話終了◆

勉強をすると、「分からない」と感じることは多いと思います。

僕も、よく「分からない」と感じます。

でも、落ち着いて、「分からないもの」を観察すると、「分からない理由」が見えてきます。

これが、大切な第一歩です。

この時点で、9割は解決しています。

目標を切り替えて、「分からない理由」に取り組むことにします。


知識が足りないなら、知識を補いましょう。

言っていることが分からないのなら、同じことについて書いてある別の本を、読んでみましょう。

時間はかかるかもしれませんが、確実に一歩一歩、前へ進むことができます。

すると、あるとき準備が整って、目の前が開けて、「今ならできそう」という感覚が生まれてきます。

そのときは、おもいきってジャンプです!



できそうだと感じられるまで、コツコツと準備する!

できそうだと思ったら、恐怖を乗り越えて、思い切って飛んでみる!

頭から落ちたとしても、得られることはとても大きいです。


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